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そして結局──…
流されるように寝室へ向かい、甘えるようにして求められると…聞きたかったはずのことも後回しになり、目の前の欲望に溺れる。
「……っ、菜々、」
って…颯斗が私の名前を呼んでくれる度に、単純な私は幸せな気持ちになる。
目を背けたくなるような現実や、厄介なモヤモヤも全て忘れて…どうでも良くなってしまう。
──…別に、、
これといった浮気の証拠がある訳でもない。
このまま、何も無かったことにして今まで通りの関係を続けていけば…それでいいじゃないか。今の幸せが壊れることが何よりも怖い。
そんな風に思いながら、颯斗の腕の中で眠りについた私を─…深夜の闇が現実へと連れ戻す。
ブブー…っと、僅かに感じた振動で目が覚めた私は…颯斗の腕の中でゆっくりと重たい瞼を開いた。
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