アイラブユーを聞かせて

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ダイニングテーブルに二人分の食事を用意しているところに、再び姿を見せた颯斗。 私にはすぐに髪を乾かせと言ってくるくせに、自分はタオルで軽く拭いた程度で…まだ湿っているように見える彼の濡れ髪姿は妙に色っぽくて直視できない。 「腹減った……」 と言って席についた颯斗に、冷えたグラスと缶ビールを提供して自分も向かい合って席についた。 「……菜々は?」 麦茶をコップに注ぎ始めた私を見て、無表情でそう問いかけてくる颯斗にお酒の弱い私は「明日も仕事だから」と断りを入れて、二人で手を合わせて食事を始める。 静かな食卓に、テレビのバラエティ番組の音声がやけに大きく響いて聞こえた。 美味しい?なんて聞くようなことは無いし、彼の方からそんな発言が飛び出したことも無い。それでも─… 「…ん、おかわり?まだ食べる?」 箸置きにお箸を置いて、彼がその場に待機しているのは”おかわり”の合図だということを私は知っている。 お腹がいっぱいになると颯斗は自ら食器を持ってシンクへ片付けに向かうからだ。 亭主関白、のようにも取れる颯斗だがそういう訳でもなくて…食べ終わった食器を洗ってくれるのは基本颯斗だったりする。その間に私はお風呂に入らせてもらうのが定番の流れ。 ご馳走様、とか…いただきますという言葉をちゃんとくれる颯斗。仕事で疲れていても文句一つ言わず夕飯の後片付けをしてくれる颯斗に、私自身甘えてしまっている部分はとてもある。
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