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「……夕飯、カップ麺でもいい?」
ジッと颯斗の目を見てそう呟けば、呆れたように笑って繋いでいない方の手を使って私の頬を軽く捻った。
「ダイニングの上に大量のカップ麺、置かれてたけど?……あれは一体、何の嫌がらせ?」
そう。帰りに立ち寄ったスーパーで衝動買いした大量のカップ麺をそのままダイニングテーブルに放置して颯斗の目に留まるように置いておいた。
嫌がらせ…というより、ちょっとした抵抗というか反抗というか。颯斗が知るはずもない、美雪の変な例え話…蕎麦とカップ麺の話しを帰宅途中思い出して、、
衝動的に大量買いしてしまったのだ。
「具合が悪い時に、メシ作れなんて言うつもりはないけど。菜々…お前も何も食って無いだろ?」
「……食欲無い、今日はもう寝る」
「雑炊、作ってやるから寝ながら待ってろ」
「いらない…もう眠いから颯斗はカップ麺、、」
「あー…はいはい。分かった、分かった。勝手にしろよ、もう知らねぇ」
呆れたようにそう呟いて、握っていた手を離して寝室を出ていってしまった颯斗。その瞬間、くだらない意地を張ってしまったことを瞬時に後悔する。
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