ロストワン

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 灰色の廊下をしばらく歩いて食堂にたどり着いた。ハッチを開けると、すでに十人くらい並んでいた。  プラスチックトレイを取って脇に挟むと、スマホを取り出しソシャゲをしながら自分の番を待った。自分の番が来ると、プラスチックトレイの上に携帯食料の箱と血液パックのような形をした水が置かれた。  食堂の硬い椅子に座って、もそもそと粘土のような携帯食料を食べていると怒鳴り声が聞こえてきた。 「ふざけんなテメー!!」 「あ゛!? 文句あんのか!? 死ねコ゛ラァ!!」  喧嘩か。閉鎖空間で集団生活を何年も続けているんだ。ストレスは溜まって当然だ。こちらにとばっちりが来ないように、息をひそめて静まるのを待った。  しばらくして、殴りあっているおっさん二人が治安警察に連れられて行った。問題を起こした人は潜水艦コロニーかららしいが、窓の外を見続けたらその水死体が、ぷかぷか浮いているのも見れたりするのだろうか。  まぁ、どうでもいいけど。 『A-001から050までの方、食事時間は終了です。速やかに退出しなさい。続いて、A-051から100までの方、配給です。ただちに食堂に集合するように』  ゆっくり食べていたらアナウンスが流れてきた。水をのどに流し込むと、ごみを捨ててプラスチックトレイを棚に戻し、食堂を後にした。
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