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13.わかるだろう
「わかるだろう。スバルなら」
「なに、が」
「怒るのは、好きだからだよ」
ふっと呼吸が止まる。スバルの頭を抱え込むリオンの胸を通して声が低く響いた。
「君のことを実はずっと好きだった」
「……いつ、から?」
そんな素振りなんてまったくなかった。動揺しながらなんとか声を出すと、触れた彼の胸から思案するような気配が伝わってきた。
「きっかけはあれかな。君がメンバーの中で誰よりも長く走れることに気付いてからかな」
「……え」
きょとんとすると、彼は少し体を離しまじまじとスバルを見て肩をすくめた。
「俺よりも見た目ずっとひ弱そうに見えるのに、どれだけ走ってもけろっとしてる。飯だってものすごく食べる。そのくせ、豪快さはまるでなくて、繊細で。いつも庭に咲くマーガレットみたいにしんと立ってて。この人はどんな人なんだろうと気になった。ギャップ萌え? っていうんだっけ。そんな感じがして」
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