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4.思い出すもの
「リオンはなにを一番思い出す?」
「俺はやっぱりあれかな、ナタリーのバーガーかな」
「しょっぱすぎるあの?」
スバルもリオンの行きつけというそのバーガーショップに連れていってもらったことがある。コショウが効きすぎた肉々しいパティに思わず苦笑いしてたものだ。
「スバルは?」
言われてスバルは息を止める。
なぜだろう、先ほど鼻先に漂ってきた土の香りを思い出していた。
厳密に言えば……密閉されたシャトル内で衛生的に野菜を栽培できるように開発された栽培用土には、地球にある自然の土と違い香りがほぼない。だが……あの瞬間、確かに香った気がした。
雨の匂いが確かに。
「僕は……雨、が」
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