天鵞絨と銀杏

出産

いつもの家族の家の前で
アタシは、にゃ～、と鳴いた。

お腹が減って、凄く寒いの。
なんだかお腹も痛くて苦しいの。
ねぇ、助けてくれない？

あなたたちは犬も２匹も一緒にいるじゃない。
アイツら、無駄吠え余りしないし、嫌いじゃないのよ。

そんなあなたたちなら、
ねぇ、少しでいいから
助けてくれない？

ステちゃん鳴いてるね
お腹へってるのかな？

お腹もだいぶ大きくなってきたな
でも、まだ生まれないと思うんだけどな

まだ生まれないなら、今のうちに体力温存させてあげようか？

いいの？おかあさん

…。かわいそうでしょ　この後こどもを産むのに
少しだけ、だけどね
家じゃ、飼えないから

うん　ちょっとでも体力つけないとね

そんな会話の後に

玄関の扉が開いた。

アタシは、中に駆けこんだ。