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数日後、司はタイムトラベルを実行しようとしていた。タイムマシンはペン型だ。ペンの回転部分を回せば、好きな時代に行ける仕組みだった。司は自身のタイムトラベルの証拠を残すために手持ちビデオカメラで録画しようと考えた。これなら、誰もが司の発明の素晴らしさを認めるに違いない。司はビデオカメラを持つとさっそくペンの回転部分を回した。
◇ ◇ ◇ ◇
最初に司が感じたのは臭いの酷さだった。それもそのはず、司は馬小屋にいたからだ。どうやら某タイムトラベル映画のようにうまくはいかなかったらしい。
「お前は誰だ!」
不意に後ろから声がかかる。振り向くとそこには一人の官吏、つまり役人がいた。服装からして、タイムトラベルが成功したことを確信する。
「私の名前は聖徳太子だ」
そう、聖徳太子は馬小屋の前で生まれたという伝説がある。これは好調な出だしだ。
「聖徳太子? 聞いたことがない名前だ。不審者として役所に連行する!」
これは予想外の展開だった。どうやって誤解を解こうか。その時、妙案を思いついた。
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