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「さて、お前が馬小屋の前にいた不審者か」
いかにも偉そうな服装の人物が尋ねてくる。
「不審者ではありません。聖徳太子と申します。私には素晴らしい力があります。私は10人の言葉を一度に聞き、それらすべてに答えることができます。それを証明できたら、私を役人として採用してください」
「怪しい奴だ。では、それがうまくいかなかったら、お前を殺す」
殺す!? 物騒な発想だと司は感じた。
「おい、人を10人集めてこい!」
人が集まったところで、司はビデオカメラのスイッチを入れる。これの録画・再生機能があれば、確実に10人の会話に答えられる。
司の作戦は見事に成功した。
「ふむ、お前は他の誰にもない才能を持っているらしい。ひとまず、採用してやる」
◇ ◇ ◇ ◇
様々な才能を発揮した司は、とうとう推古天皇の摂政という立場まで登りきった。
ここまで来れば、司にとっては楽勝だった。あとは史実と少し異なる政治をすればいい。
まずは、冠位十二階と十七条憲法。これは史実にそえばいい。
いよいよ、遣隋使派遣の年になった。ここが分岐点だ。司はソフトボールくらいの地球儀を作ってこう言った。
「地球には、隋の他にも未開の地がある。ここに行けば、さらに日本は発展するだろう」と。
これを聞いた役人たちは全力で世界中に船を送り出した。この政策は大成功し、日本は世界のすべての大地を領土にした。ここまでくれば、もうこの時代に用はない。司はペン型タイムマシンを再び使い、元の時代へと戻った。
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