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 闇星☆のメンバーが集まるなんて、どうしてだろう? と考えて気づいてしまった。私が知らないだけで交流や友情が芽生えていてもおかしくない。ロベルト様は、後方支援でも魔王討伐メンバーの一員だった。  ロベルト様のタキシードの裾をくいっと引っ張ると、蕩けるような瞳で見つめられた。はあ、旦那様が素敵すぎる。 「あの、もしかして、ロベルトのお友達が、結婚のお祝いに来てくれたの?」    闇星☆メンバーに見守られて、ロベルト様と夫婦に。こんなに幸せでどうしよう。闇星☆メンバーの皆様は、すごく忙しいみたいでロベルト様の転移魔術で式が終わって直ぐに王都へ戻っていった。  戻る直前、お土産に前世の知識をもとに師匠と開発したメロンパンとカレーパンを渡す。ロベルト様の視線が痛かったけど、でも、もう闇星☆の皆様に会えるなんて奇跡は起きないから、許してほしい。  迎えた初夜。  子犬甘えん坊ぼくっ子のロベルト様が、夜になると狼エンドレスおかわり様に大変身。推しの知らなかった色っぽくて艶やかな一面にきゅんきゅんズキューンで、私はしばらくベッドの住人になった。  私の眠りこけている間に、魔王討伐パレードがあったことをロベルト様にお世話されながら聞いた。最高のスチルを見逃して泣いたら、ヨシヨシされて気分上昇。   「アリア、………もう一回、だめ?」    きゅううん、と子犬わんこ顔でねだられる。だめなんて言えない。悪役令嬢に転生したけど、こんなに幸せでいいのか不安になる。頷いた途端に、甘えん坊子犬わんこが肉食狼に大変身。きゃうんきゃうん子犬みたいに鳴かされた。不安はどこかにさようなら。  闇星☆メンバーが、何度も長閑な田舎に突撃してくるようになったり、メロンパンとカレーパンが王都で大流行したり、ロベルト様が本当は魔王を討伐していたと知って大喧嘩する話は、また別の機会にでも。      おしまい。
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