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◇
二年生になったロベルト様。
乙女ゲームの中では、魔物討伐実習の最中に古竜が現れるイベントが発生する。ヒロインと一緒に古竜を倒し、古竜の魔石をヒロインに捧げながら告白をするという胸キュンなロマンチックイベント。もちろん私も胸をときめかせてロベルト様の頬を染めるハニカミ顔のスチルをゲットした。
ところで、なぜ?
目の前にスチルで見た魔石のペンダントがあるのは、なぜなの? 教えておじいさーん。
「アリア、十六歳の誕生日おめでとう」
ロベルト様の瞳と同じ紫色のペンダントは、古竜の魔石を加工したもの。これ一つで王都に豪邸を買っても、一生遊んで暮らせる。いやいや、そうじゃなくて、ヒロインじゃなくて幼馴染に渡していいの? 渡す相手を間違えてない?!
「…………気に入らなかった?」
「ううん。びっくりしちゃって……ロベルトの瞳の色だね」
「うん。アリアにぼくの色を身に着けてほしくって……だめ?」
きゅうんと見つめられる。背が伸びても子犬わんこで、甘えん坊のロベルト様。闇星☆の世界で、自分の色のアクセサリーを贈るのは、求婚。
天才のロベルト様がこのことを知らないはずなんてなくて。背が高くて見下ろされてるのに、なぜかきゅうん顔。きゅうん、きゅうん、可愛すぎる。好きです。大好きです。
「…………ロベルトが着けてくれる?」
「うん、喜んで。アリアに似合うよ」
ヒロインさん、ごめんなさい。ロベルト様のきゅうん顔を断るなんて無理です。推しの誘惑にあっさり完敗、負けました。ロベルト様のとびきりの笑顔、尊死。
闇星☆の世界は、女性は十六歳、男性十八歳にならないと結婚できない。ロベルト様の十八歳の誕生日に結婚予定。私たち、婚約しました。
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