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 ◇  ごめんなさい。調子に乗っていました。闇星☆のシナリオを無視して学園を卒業したロベルト様。闇星☆のゲーム期間も終わり、エリートの集う魔術省に就職していたから、油断して調子に乗っていました。ごめんなさい。  ──魔王復活!!  完全に忘れていた魔王。婚約に浮かれて、結婚式のドレスや新居の内装にうふふ、きゃふふ、していました。ゲームが終了して、油断して、浮かれて、ちゅっちゅばっかりしていたバチが当たったのかもしれない。  魔王復活のニュースは、長閑な田舎まで届いた。  魔王討伐に天才魔術師のロベルト様の力は絶対に必要。闇星☆のストーリーでは、トドメを刺すのは第二王子(攻略対象者)だけど、魔王を追い詰めたのはロベルト様だった。 「──ロベルト、魔王が復活したね……」 「そうみたいだね。僕は、魔王討伐メンバーの後方支援することに決まったよ」 「ほ、本当……?」 「うん、メンバーになりそうだったけど、アリアとの時間が減るのが嫌だから辞退した。まあ、魔王を倒すまで、休日出勤は増えちゃうかな。アリアに寂しい思いさせちゃうかも。ごめんね」  ロベルト様から魔王討伐に行くと話されたら、頑張ってね、と送り出さなくちゃと思っていたのに。どんなにロベルト様が魔術の天才でも最前線に行くのは怖い。安心したら、ポロポロ涙がこぼれた。 「アリアの泣き虫」  ロベルト様によしよしされて、ぎゅっと抱きつく。推しだけど、もう、ゲームのキャラだなんて思えない。男性として、格好いいのに、可愛くて、子犬甘えん坊で、眼帯してる属性大渋滞なロベルトを愛してる──! 「ロベルト、大好き……」 「うん、知ってる。でも、僕のほうが好きだよ。もっともっと僕に堕ちてきてね……。昔は僕の方が泣き虫だったけど、アリアは泣き顔も(そそ)られるし、涙も美味しそうだね、はあかーわいー……──アリアは、僕が守るからね」  ぐすぐすしていて、ロベルト様の最後の言葉しか聞こえなかった。たまにロベルト様は早口になるんだけど、なにを言ったのか教えてくれない。秘密主義でミステリアスなところも好き。もう全部好き好き。  わんこみたいに涙をペロリと舐められる。それから、優しい手つきで紫色の指輪とイヤリングを付けられた。ロベルト様の独占欲三点セットが嬉しくて、またボロボロ泣く。いくらでも独占してほしい。そんなことを言ったら、ロベルト様に唇を思いっきり食べられた。
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