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伊藤明美の恋心
私は平凡な女子高生。でもそんな私に衝撃的な出会いがあった。
私が街中を散歩している時に、ナイフを持った大柄の男が私に掴み掛かってきた。男は鼻息荒く目が完全に常軌を逸していた。
私がその男から必死に逃げようとすると頭を掴まれた。私は涙を流して助けを求めた。誰か助けて!
その時に颯爽と現れたのが柊さんだった。柊さんは男からナイフを奪うと一瞬にして男を拘束した。柊さんは鍛えられた体軀に精悍な顔つきが素敵だった。
私は柊さんに心の底からお礼を言った。柊さんに名前と連絡先を教えてもらった。柊さんは拘束した男を物陰に運んで行った。
しばらくすると柊さんが表に出てきて犯人の男は反省しているから絶対に通報しないでくれと頭を下げて言った。私は柊さんに懇願されてその通りにした。
私は柊さんを運命の人だと思った。でも柊さんは仕事の都合ですぐに外国に飛び立った。それ以来、柊さんとは会えていない。
大雨の影響で柊さんはなかなか日本に戻れないようだ。私は柊さんが帰国することを待ち侘びていた。
私が恋焦がれていると、父親が天気に不満を洩らしているのが聞こえた。私は溜め息混じりに呟いた。
「早く雨が上がらないかな」
「俺も早く雨が上がって欲しい」
父親にとって雨が上がると何がいいのかわからなかった。父親が私の瞳をじっと見ていた。
「恋をしている目だな。相手は誰だ?」
「えっ、そんなことはないよ。お父さん」
私は父親に言い当てられてあわてて隠した。
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