ある小説家の苦悩

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「アリサ先生! 大変です!」  編集者の慌てた声を聞いて「やはりか」とアリサは心の中でため息をついた。 「先生の本が爆発的に売れているのです! 『アイデアに斬新さはないが、文章に人の温かさを感じる』とのメールが殺到しているのです。しかし、よく分からんですなぁ。今までの方がキレがあって良かったのですが……」  アリサは自分の判断が正しかったことが分かり、頬が緩む。これは私が切り拓いた新たな可能性。この考えに続く人がいるかは分からない。おそらく、少ないだろう。だが、自分の考えを変えることはない。これこそが「自分らしさ」なのだから。
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