動きはじめるぞう

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 鹿児島の西郷隆盛、大久保利通像、高知の坂本龍馬、中岡慎太郎像、そして北海道のクラーク博士像まで、日本中のありとあらゆる像が一斉に動き始めたのだ。  みんな動き出した像を一目見ようと、スマホ片手に道を行く像を撮影し、次々とSNSにアップしていた。  奈良や京都では阿弥陀如来や薬師如来、千手観音まで公道を歩いており、町全体が異様な雰囲気に包まれた。  馬に跨った伊達政宗は一気に国道を南下し、その横を薪を背負った二宮金次郎がてくてく歩いていた。福沢諭吉や新渡戸稲造はゆったりと歩を進めた。  西日本ある像は東へ、北日本にある像は南へと進んでいた。  彼らはどこへ向かっているのか?  徐々にその答えが見え始めた。
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