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そこから2時間ほど歩いたところ。
特に雪と会話も弾まぬまま次の石碑の所まで来た。
「これは歴史だね」
「『神の怒りを買いし我らの地は踏み荒らされ穢され見るも無様な姿へと変貌した。その異変を止めるべく行われたのが✗✗の儀式である』」
肝心の儀式の名前が読めない。
そういえば私が行うこの儀式には正式な名前がない。
石碑に傷がつき読めなかったためだろうか?
だが、よく見てみると意図的に傷つけられているように見える。
見られたら不都合な何か?
やはりよくわからない。
「ん〜……雪、ヒント頂戴!」
「僕が全てを知ってると仮定したまま話しを進めるのやめてくれないかな?」
「だってもう手がかりが……」
「もっと先に進んでみたらあるかもよ?石碑」
進むしかないとでも言いたげな目だ。
もともと石碑がなくても進まなければならいし行くけれど謎が解けないまま帰るのは辛い。
残りの石碑を見て私は謎にたどり着けるのか?
不安と同時に謎の探究に対してのワクワクが募る。
「さて、じゃあ先に進もう」
「……ねぇ、晴」
「ん?何?」
なぜだろう。
雪は不安げな顔でこちらを見ている。
「この先に進むのが怖くないの?」
「……別に、雪もいるし」
独りは怖いけど、2人ならマシである。
「……そう、…進もうか」
…何だったのだろう。
今の一瞬だけ現れたあの儚げな表情は。
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