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なんだか雰囲気が違う。
ゴツゴツした岩の集合体である洞窟とは打って変わり文明の文様のようなものが装飾された壁にたどり着く。
「ここが……儀式の場所」
「うん……あ、あそこに石碑が2つある!」
「本当だ!えっと……歴史の方は『戻り、まだ知らぬ物語を探せ』」
まだ知らない物語……?
どういうこと?
何もわからない。
洞窟の入口からここまでは一本道だ。
見てないところなんてないはずだった。
「……伝説の方は『無垢なる儀式の子。憐れなる儀式の子からの導きを受け辿り着きし者。全ての教えを受け加護を解放せよ。さすれば未来への扉開かれん』」
憐れなる儀式の子の導きを受け……?
今まで他の儀式の子になんて会っていない。
私が会ったのは雪だけで……え?
「雪……?」
「……全ての伝説を読んだね?じゃあ、全部教えてあげる」
「どういうこと?」
彼はいつもと違う凛とした目を向け言った。
「僕は10年前の儀式の子だ」
目の前の彼は驚きの言葉を放つ。
「10年前の……儀式の子……?」
「そう。君がまだ5歳のときの儀式の子」
「え、じゃあなんでこんなところに……?ていうかその場合あなたは3歳のときに儀式の子としてここに来たってことになるじゃない……さすがにおかしくない?」
10年前……13歳の彼は3歳のはず。
儀式の子は10歳からしかなれないから流石におかしいのだ。
「おかしくない。僕は10年前からずっとここにいる」
「……なんで……?」
混乱により上手く言葉を紡ぐことができない。
今のは辛うじて出た疑問の言葉だった
「儀式の子って名前からしたら分からない……大人たちも何も教えてはくれなかった……けど、儀式の子は」
その後重苦しい言葉が祠の前に響いた。
「生贄って意味なんだ」
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