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4日目
「あ〜!雨上がった!!」
娘の声がし、外へ出る。
空には久々の虹が架かっている。
歓喜の声をあげるのは何も知らない子どもたちだけ。
大人たちは嘆きの声をあげる。
儀式が成功したということだからだ。
隣の家の晴ちゃんは何も知らず儀式へと向かった。
生贄ということを宣告せずに洞窟に閉じ込めて祠の前で餓死するまで祈りを捧げさせる。
晴ちゃんの両親は久々の晴れにも関わらず家から出てくる気配がない。
一人娘が旅立っていったのだから無理もないだろう。
空の色と対照的に村の空気は沈んでいる。
もう、子どもたちを犠牲にするのはだめだ。
このままだと、誰も幸せになんてなれない。
生贄の子供を作るためだけに構成された村だったとしても……私たちにだって心はある。
誰かを犠牲として作られた平穏に意味はあるのか?
そう、問わずにはいられなかった。
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