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もうどこまで来たのだろう。
あとどのくらいの距離かわからない。
あれから何度か滑ってころんだ。
そのたびに雪は心配して駆け寄ってくれたけどもう私は15歳。助けなしに起き上がるくらいはできる。
でも、何か懐かしい感覚を覚える。
お父さんがいつもこんな感じで起こしてくれてたんだっけ?
よく覚えてない……。
希薄な記憶は何かを呼び起こそうと奮闘するも、やっぱり閃きのような感覚は訪れない。
そんなことを考えながら歩いていると石碑が目の前に現れた。
「ここに石碑……?」
「……なんて書いてあるか読める?」
「え、えっと……『陽気なる儀式の子。道指し示し石に従え。さすれば空に陽光あらん。』……」
「こっから先に進めばもっと沢山の石碑があるから、そこに手がかりがあるかも……」
「……ちょっと気になるな……よし、進もう」
私は再び歩き出した。
帰りたいという気持ちが興味にすり替わっていく。
目に見えない好奇心を止められるものはいなかった。
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