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私の改まった様子に気が付いた伊織くんは、動揺を隠せないようだった。
「ま、待て。ちょっと待て」
「え?」
待てってどういうこと?
告白すら、させてもらえないの?
「あのさ、俺、雨が上がったら梨沙に言おうと思っていたことがあるんだ」
え? それって……
「まずは俺の話を聞いてくれないか?」
私は黙って頷いた。
「あのさ、梨沙が選抜に落ちて、ショック受けてて、それを見るのが辛かったんだ。それでさ、梨沙に元気出してもらいたいと思って……」
そう言うと、伊織くんはカバンの中から小さな袋を取り出した。
「止まない雨はない。梨沙も来年はコンクールに出れるはず。今年のコンクールは一緒に出れないけど、来年は一緒に出よう」
嬉しくて涙が出てきた。
「ありがとう。私、頑張る! 大好きなホルンでコンクールに出たい!」
「ふふ。そう言うと思ったさ。だから、来年は一緒に出れるように、これはそのお守り」
伊織くんが私にプレゼントしてくれたもの。
それは、ホルンの形をしたキーホルダーだった。
キラキラ光っていて、とってもかわいい!
「ありがとう! カバンに付けるね!」
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