街道の襲撃

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 コクっとクローディアが頷く。  見つめた大好きな人は、涙で歪んでしまっていた。 「俺は後世に語り継ぎたいほど素晴らしい出会いと再会だと思っている。君は?」 「ジュレに教えてあげたいの。私初恋の人と再会出来て、妻にしてもらって、すごく幸せだって」  エルキュールが両手を広げ直した。  今度は迷うことなくクローディアが飛び込む。  彼女が苦しむのは分かっていたが、力の限り抱きしめずにはいられなかった。 「愛している、ディア。そんなに悩んでくれていたことに気づかずすまなかった。そして誠意をもって俺を愛してくれてありがとう」 「愛してるの、エルク」 「ああ、俺も愛している。また誓わせてくれ」 「誓い?」  エルキュールがクローディアを離すと、そっと剣を抜いて差し出した。 「再び誓う。俺は生涯クローディアの騎士となりその身を、魂を守ると」  またクローディアの目から涙が零れた。  若草色のドレスはもう染みだらけだ。  ジュレがいたら「早く認めないとずっとあのままよ」と言われそうで、彼女はその剣でそっと肩を叩いた。  微笑み合うと、エルキュールもその姿勢を解いた。 「姫、お手を」 「ふふ……とっても頼りがいのある騎士様なの」 「騎士なだけか?」 「……とっても素敵な旦那様なの……」 「ディア……」  花畑の中、騎士と姫が寄り添う。  重ねた唇は、今までのどのキスよりも深い愛を伝えあった。  風に髪を乱されても気にすることも出来ないほど、溺れるように口づけを交わし合う。  このまま溶けてしまいそうなほど、甘くて心地の良い痺れが全身を駆け抜けていった。 「んっ……はぁ……ぁん……は……んふ……えるく……」 「そんなに乱れてくれるのか。なら今夜、君の大事な物をもらってもいいか?」 「うん……全部あげるの。待ってくれてありがとう。あなたを大好きな気持ちで初めてを迎えられて嬉しいの……」 「ではそろそろ戻ろう。町で騎士団の護衛を付けてから帰る。少し物々しくなるが、これからは城内でも警備を付けることにする。事が解決できるまではそうさせてくれ」  襲撃は恐ろしかったが、帰り道の二人の心は今日のこの天気のように晴れ渡っていた。  町で護衛を付けるとそのまままっすぐ城に帰還し、すぐにクローディアを抱きたい気持ちを抑えルブラードと今日の襲撃と今後について話し合う。  クローディアは別のお茶菓子を用意してくれたリーユに襲撃時のエルキュールの対応力と、溢れる彼への気持ちを、見守る護衛が苦笑するくらい熱心に語っていた。
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