戦の前夜

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「さあディア。別に最期の夜という訳ではないんだ。そんなに心配するな。カートには裏でこのための準備をさせていた。すぐに制圧して戻る」  偵察からの正確な数値は届いていない。すぐに戻る保証はないが、泣き顔で送られるより笑って欲しかった。 「うん、うん……エルクは強いものね。いい子で待ってるから、帰ってきたらお菓子を沢山持って、野原に行きたいな。あ! 海へも行きたいの! エクレールとは一緒に行けなかった海、エルクと一緒に行きたい」 「ならば朝から晩まで全て菓子にするか。海辺の別荘はそのまま海に出られる。潮風の中、甘い菓子も悪くないかもしれない。今度は俺もちゃんと食べられるぞ」  そう言うと二人で笑った。  エクレールに無理矢理クッキーを食べさせた時、髑髏の顔では全て取りこぼしてしまったことを思い出す。 「エルク……愛してるの」 「でぃ――」  名を呼ぶ前に、クローディアが立ち上がり寝台に座るエルキュールの唇を塞いだ。  彼が無抵抗のまま彼女を迎えると、そのまま大きな体が倒された。  エルキュールの上に重なるようにして、クローディアが唇を重ねてくる。  彼がいつもそうするように、彼の引き締まった唇も、厚い舌も、愛らしい彼女の唇で食み、小さな舌で絡め取った。  ふわふわの髪に手を差し込んだエルキュールは、しばらくそうしてクローディアがしたいようにさせていたが、やがてくるりと体の位置を反転させると彼女に覆いかぶさった。  唇は片時も離れず、初めての頃は息継ぎも分からなかった彼女が甘い声を出しながらずっと口づけを受け止め続ける。  夜着は簡単にはだけ、あっという間にクローディアの白い肢体が薄闇に浮かんだ。    そのまま荒い息遣いだけ部屋に響かせ、エルキュールは体の下に組み敷いたクローディアの素肌に唇を這わせる。  彼女が時折体を揺らす場所を見つけると吸い付き、短い声が上がるまで吸い上げた。小さな痛みの後に赤い花を散らすと、また唇が次の場所を求め這っていく。  いつのまにか胸も、大きな彼の手の中で形を変えていた。  ぷっくりと乳房の先端が立ち上がると、大きな口の中に含まれる。そこも痛みを僅かに感じるほど吸われ、最後はコリっと歯をたてられた。クローディアの背が弓なりに跳ね、口からは昼間の彼女から想像できないような艶めいた声が漏れた。  二人とも何も言わない。  ただお互いの体を強く求め、エルキュールが彼女の体に証を刻んでいく。  快感を得るにちょうどいい、小さな痛みを与えられるクローディアも、その証を次々と受け止めた。 「もっと……」  下腹に吸い付いているエルキュールに手を伸ばすと、その頭を手のひらいっぱいで抱く。  顔を上げた彼が、“もっと”唇が欲しいと言っていることに気づき、甘えて来る彼女の唇を満たしてやった。  合わせた唇の隙間からは、時々気持ちよさそうな声が聞こえて来る。  喉の奥からせり出すような、我慢できずに漏れ出た声は、それだけ快感を伝えているようでどんどんエルキュールの雄を煽った。  クローディアの思考を奪うらしい口づけを繰り返しているうちに、気持ちよさそうな声に別の声が混ざった。  甲高い声で啼いている理由は、彼の手が足の間の柔らかな肉に侵入してきたから。  濡れそぼったそこを指の腹で撫でてやると、固くなった蕾がこすれ彼女の口からは艶やかな啼き声が漏れる。  蕾から指を放さずくるくるとずっと刺激を与えているとその啼き声は連続で聞こえ、それがエルキュールの理性を急速に奪っていった。
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