戦の前夜

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 やがて一番高い声を発したかと思うと、彼女は細い首をのけ反らせて小さく震えていた。  その震えが収まらぬうちに首にかぷっと吸い付き、蕾に快感を教えていた指先はぬるっと下に下がって蜜口までやって来た。ひくつくそこに指をあてがうと、吸い込まれるように中への侵入を許してしまった。  たった今達したばかりの体が、内側を擦られまた跳ねる。  彼女の艶やかな声がずっと響いて、快感で震える内側に刺激を与え続けた。    エルキュールの指先が中で蠢いているのが分かる。  ただ擦るだけでなく、ひくつくあちらこちらを確認するように押し込んでいく。  また大きな波が来てしまいそうで、クローディアは喘ぎ声の合間に懇願した。 「いやぁ、えるくきて、えるくの、えるくのが欲しいの!」  クローディアの体液にまみれた指を引き抜くと、それすらも快感でぴくんと揺れる。  既に限界まで怒張しているエルキュールをあてがうと、クローディアはその腰に足を絡めた。  彼女に「挿れる」と断りも入れられぬままにゅるっと中に迎えられ、彼の口からも艶めいた吐息が零れる。  初夜の儀では偽装するだけだったこの行為。  想いが通じ合った後には、本当の初夜を激しく迎えた。  それからはほとんど毎日彼女を組み敷いて来た。  クローディアの体は回数を重ねるごとにエルキュールの与える快楽をよく覚えるようになり、今はこうしてすんなり彼の大きく固いものを受け入れることが出来るようになった。  それなのにひとたび中に入ってしまえば、逃さないとでも言うように絡みついてくる。    昼間人前でキスをしようものならそれだけで赤くなると言うのに、寝台でのこの乱れよう。  体を繋げた時のとめどなく流れる快感。見た目は小さな女に覆いかぶさり雄の欲望をぶつけているようで、その実彼女の愛に囚われているような気分になってしまう。  クローディアの方は彼の与える刺激全てに翻弄され快楽から逃れられず、最奥を穿たれる度に彼の愛に囚われているような気分だった。  腰をぶつける最中も、彼女は何度も小さく絶頂を迎えている。  やがて彼の方にも限界が近づき、一番奥にキスでもねだるように何度もぶつけると、クローディアの方が先に大きな絶頂を迎えた。  ぎゅうっと内側がエルキュールを締め付け、彼も一番奥にぶつかる感覚を味わいながら、欲望の全てを中に吐き出した。    ずるりと自身を抜き取っても、彼女はなかなか快感が収まらないのか、ぎゅっと足を閉じると子猫のような声を出しつつ、余韻の中にいた。  その体を抱きしめる。  汗ばんだ互いの体が吸い付くようにぴったりと重なり、二人とも荒い呼吸を繰り返すことしか出来なかった。  少し落ち着き、クローディアはぼんやりと、エルキュールは未だ残る獣の目で互いを見つめていた。  そんな彼女の細腕が、息吹を返した彼の首に絡みつく。 「えるく、もっときて……」  二人はこの夜、もう一度肌を重ねた。  一度発散したエルキュールの突き上げはなかなか終わることがない。  彼は何度かクローディアの体制を変えつつ抽挿を続け、最後は獣のように後ろから抱え込むとようやく果てた。    クローディアが寝台に崩れる。  散々彼に突き上げられた胎の中は、まだ彼で埋まっているような気がした。  愛おし気にその腹を撫で、荒い呼吸のままの彼の口づけを受ける。  快感の余韻をひきずったまま、彼女はいつの間にか眠りに落ちていた。
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