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「…あの…いや…そんなに…」
スス、ピー、スス、ピー
奇妙な音の合間に声らしき音も混じっていることに気付いた。
まともではない!
優太はいよいよ駆け出そうとした。
「ま…待って下さぁい!」
真っ黒い物体から、声があがる。
男性らしき声だ。
化け物の声という感じはなく、むしろ穏やかな紳士的を思わせるような声色に聞こえた。
「行かないで下さぁい! 大事なお話があるのです!」
スス、ピー、スス、ピー
黒いバスケットボールは、小さく上下しながら必死の叫び声をあげた。
「風花ちゃんと知沙さん、そしてあなたについて、大切なお話なんです」
優太は鳥居の前で足を止めた。
「…なんで僕の家族の名前を知ってる…?」
優太の汗は凍ったまま滴り落ちたようなきがした。
黒い浮遊物は優太に追いついた。
「そんな怖い顔をなさらないで下さい。私は怪しい者ではありません」
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