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クロイさんに話しているというよりかは、自分を納得させるために優太は言葉を急いた。 クロイさんは言いにくそうに、しかし落ち着いた声で優太へ言った。 「夢と言えば夢と思っていただいても構わないのですが、優太さんの肉体の方は熱中症によって弱っていることは確かなのですよ。優太さん、足元を見てください」 クロイさんの言葉に、優太は自分の足元を見た。 「影はありますか?」 神社の石畳の上には弱光に照らせれた赤い鳥居の影が色褪せた木造の社務所の方へ黒く伸びている。 その影だけはいやに現実感を持っているように優太の目には映った。 薄茶色のビジネスシューズを履いた優太の足元には、地面しかなかった。 「影…? 影が…?」 優太の影は、なかった。 それどころではなく、靴を履いた両足には、お喋りしているように石畳の隙間に生えている雑草が重なって見えたのだ。 「足が…透けてる…!?」 呆けたように呟く優太に、クロイさんは語りかけた。 「優太さんは肉体を病院へ置いてきたとは思われていないので、優太さんの想念があたかも身体があるかのように見せているのでしょう」 優太は透けた両足を見つめながら、 「…全く意味がわからない…」 呟くだけだった。
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