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口の中でもごっとそう呟いた。母である知沙を一回り小さくしたような風花の小さく丸い顔は、不安と安心がまじったような複雑な陰影をおび、子供には見えなかった。 まるで老婆のようにも見えた。 何度かあったこととだが、そんな風花を見ると、風花の表情と同じように、優太もなんとも言い難い重い気持ちを持ち余すのだ。 「風ちゃん、パパが心配なんだよね」 困難時に、二人の気配に風を入れてくれてのは妻であり風花の母である知沙だ。 やはり無糖の清涼飲料水だ。 「でも、パパはこんなにお守りを持ってるよ。大丈夫だよ」 そう笑窪を作り微笑んだ知沙はうつむいてお守りをみつめる風花の頭をなでた。 母の手が頭をなでたことにはっとしたように、風花も慌てて大きく頷いて見せた。 笑おうとして笑えなかったような顔つきだ。 心配性の娘を見て優太も心配にもなる反面、その実、抱きしめてやりたくなるほど愛しくもなるのだ。 父が娘を思う愛おしさの中に、父と娘との想いとは別の、言いしれぬ悲しみのような意識も感じて優太はいつも困惑する。 この想いは何なのか…? どこから来るのか…? 「でもこのお守り…」 答えの出ない戸惑いを振り払うためも優太は立ち上がりながら、おどけた声をあげた。
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