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「夢…?」 辺りを見回しながら優太は考えた。 「いや…」 朝、風花にお守りを持たされ、いつものように自社製軽量リュックを背負い、その自慢の軽量リュックが売りの会社へ出勤した。 それからいつものように昼食を食べるために同僚と近くの定食屋へ向かった。 そこまでは覚えている。 それから…? 「…思い出せない…」 ただやたらと蒸し暑く、滝のように流れる汗がシャツを濡らすことを疎ましく思ったことは覚えている。 身体が電熱機器のように火照っていたことも覚えている。 頭痛もしてきたことも思い出した。 だが…。 それから…どうしたのだろう? どことなく時代劇のセットに出てくるような、こじんまりした境内の入口にある苔むした狛犬を見つめながら、優太は目を瞬かせた。 「とにかく…会社に戻らないと…」 優太は神社の参道を歩こうとして、また立ち止まった。 「ここは…どこだ?」 そうだ。 ここもありふれたよくある小さな神社だったが、優太の勤め先はオフィス街にある。 右も左も不気質なビルばかりでこんな神社があるなどとは聞いたことも見たこともない。
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