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朝が訪れた。
僕は布団から身体を起こすと、大きく背を伸ばす。
昨日まで肩にあった、長く伸びた黒髪は、もうない。
心の中で深く交わったからか、もう必要ないのかも知れない。
「おはよう」
墨村さんが声を掛けてくれる。
「おはようございます」
僕は元気よく挨拶を返した。
「よかったよ。上手くいって」
墨村さんがニヤリと笑った。
「全て知っていたんですね」
僕は苦笑いを浮かべた。
「心の有りようなんて、教えてなんとかなるもんでないわ。結局のところ、自分次第よ」
そう言うと、墨村さんは嬉しそうに、
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」
と笑った。
おしまい
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