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僕がホッとして胸を撫で下ろしていると、
キシッ、キシッ、キシッ
再び、廊下の板を踏み締めて、何かが近付いてくる音が聞こえてきた。
まさか……
嫌な予感に胸の鼓動が速まる。
すると、障子に人形の影が映り、その後、スーッと扉が開くと、黒い髪の人形が部屋の中に入って来た。
着ている着物は色褪せた白だった。しかし、よく見てみると、先程の人形とは違う人形だった。
その人形も僕の顔の辺り迄近付くと、黒い髪の毛を伸ばして、僕の髪の毛にその髪を絡めた。
何をしているのか確かめようと、目を動かしてみたけど、蠢く髪の毛の一部が見えただけで、何をしているのか分からなかった。
結局、その夜は、その後も黒い髪の人形達が、入れ替わり立ち替わり現れて、同じように僕の髪の毛にその黒髪を絡めては、部屋から立ち去って行った。
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