黒い髪の人形

17/17

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
 朝が訪れた。  僕は布団から身体を起こすと、大きく背を伸ばす。  昨日まで肩にあった、長く伸びた黒髪は、もうない。  心の中で深く交わったからか、もう必要ないのかも知れない。 「おはよう」  墨村さんが声を掛けてくれる。 「おはようございます」  僕は元気よく挨拶を返した。 「よかったよ。上手くいって」  墨村さんがニヤリと笑った。 「全て知っていたんですね」  僕は苦笑いを浮かべた。 「心の有りようなんて、教えてなんとかなるもんでないわ。結局のところ、自分次第よ」  そう言うと、墨村さんは嬉しそうに、 「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」  と笑った。 おしまい      
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加