4話 ラムエと神(シラセ)との出会い

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4話 ラムエと神(シラセ)との出会い

ラムエは一心不乱に走り出した。 怒り心頭に発する神官は、ラムエを神を冒涜した罪人として捕まえ、処刑するつもりだ。 人混みをかき分け走るラムエを追いかける神官を見て、国民たちはざわついている。 「まだ神官追いかけてくる!もう嫌だぁ~!」 息を切らしながら走り続けると、ラムエの前に、また小さな影が見えた。 「あぁ!!あの影…!」 影は、ラムエを手招きしてきた。 ラムエは神官から逃げたかったので、影のいる方へ走った。 建物の間の狭い道へと導かれるように入っていくと、そこには、聖堂に描かれていた神そっくりの生き物が現れた。 サイズは、ラムエの片手サイズ程度だろうか。 「こちらへきなさい。あの神官は、貴方を殺そうとしていますよ」 神そっくりの生き物が喋り、ラムエは、とてつもなく驚いた。 「しゃ…喋った!!!人間の言葉を喋った!!!」 神そっくりの生き物は、冷静に、声を抑えるようにラムエに言う。 「落ち着いてください。わたしがあの神官を追っ払いますので」 そういうと、神そっくりの生き物は、翼を広げ、目を光らせ空へ飛び立った。 空を黄金で覆うと、国民は一斉に空を見上げた。 ラムエを追いかけていた神官も、思わず空を見上げた。 「ま…まさか…神様が…!?」 イースの空を黄金が覆う時、それは神様が降臨された時だ。 空が黄金になると、神官でさえもひれ伏す事しかできない。 他の国民も、黄金の空に向かってひれ伏した。 買い物中の客、仕事中の人間も仕事の手を止めて。 その頃、真実の天秤を見守っていたナオトたちにも、空が黄金に輝きだしている知らせが届いた。 「天秤はあとだ!神様が降臨された!」 神官の一声で、ナオトたちは、聖堂の外へ飛び出した。 「空が…黄金に輝いている…。星を空いっぱいに埋め尽くしたかのように…」 ナオトはこんな言葉を発して、少しの間空を眺めてからひれ伏した。 真実の天秤は、毎年数回使うことがあるが、神が降臨することはなかった。 「神様が降臨されるなんて…120年ぶりではないか?」 ひとりの神官が、他の神官に問いかけると、神官たちは頷きはじめる。 「一体なぜ…ラムエもいないし…どうなっているんだ…!」 ナオトは、突然の神降臨と、ラムエの逃走を心配するぼやきをした。
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