4話 ラムエと神(シラセ)との出会い

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「ねぇ、あなた名前は?名前ないなら、土偶みたいな形してるから『ドグウさん』って呼んじゃうけど」 「ドグウですか?それはちょっとセンスがないですね(笑)わたしの名前は、シラセと言います。帰るところがないので、このままわたしを連れ帰ってください」 神そっくりの生き物は、自分をシラセと名乗った。 シラセとは、神魔約書で神の中の神として、イースの国民が崇める神様。 「あなたはチャクリスではないようですが、あなたは、母性に満ち溢れた優しき波動をお持ちのお方のようですね。時々ドジをしますが、いつでも、どんな時でもどんな人の心を温かくし優しく接することができるお方のようですね」 ラムエは自分の性格や人間性をシラセに見抜かれて驚きを隠せなかった。 神であるシラセなら、人間の本質を見抜くことは簡単なことだ。 「どうして私のことが分かったの?なんか、神様みたい!」 「え?あ…まぁ、なんとなく、そんなお人のような気がしただけです」 シラセは自分が神だとバレないように、その場しのぎの嘘をついた。 あくまでも、土偶っぽい形のシラセという生き物だと、ラムエに印象付けたかったからだ。 「なんか、可愛いし、一緒にうちにいこう! ナオトっていう婚約者と一緒に住んでるんだよ」 ラムエは、シラセを抱え街の中を歩きながら、シラセに楽しそうに話し始める。 シラセを抱えているラムエを、国民たちは腑に落ちなさそうに見つめていた。 そんな国民たちの目線など気にせず、ジュースやお菓子を買い食いしながら、ナオトがいる聖堂へ向かって歩く。 「ナオトさんという婚約者がいるんですね。とても幸せなことです。ナオトさんは敬虔なチャクリスのようですね。頭のキレもよく、なんでもできて、人情味に熱いお方のようですね」 会ったこともないナオトの事を言い当てたシラセに、ラムエはジュースを吹き出しそうになった。 「なんで、ナオトさんのことが分かったの!?まだ紹介もしてないのに」 ラムエは目をまん丸くして、シラセを自分の目の高さまで上げて、シラセの目をじーっと見つめた。
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