4話 ラムエと神(シラセ)との出会い

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ラムエの肩に、シラセはちょこんと乗って、街の風景を見ながら、ラムエの質問に答えた。 「ごく稀に、チャクリスではない人間に、神様からお告げがいくことがあるそうです。ですが、それは本当にごくごく稀なことです。どちらかというと、悪い神様からのお告げの方が多いそうです」 ジュースを飲み、聖堂に行く道中で買ったポテトチップスを食べながら、ラムエはシラセの話に耳を傾けた。 「もしかすると、真実の天秤を使って、本当に神様からのお告げか確かめているかもしれませんね」 「ふーん。シラセはチャクリスなんだね。良く知ってるね」 「ええ。わたしはチャクリスですよ。ラムエさんも、神魔約書を読まれてはいかがでしょうか?この国や他3つの国の歴史。落ち込んだ時に、人間を前向きにそして明るく生かさせてくれるお言葉がたくさん書かれていますよ」 シラセが諭すように、ラムエに神魔約書を読むことを勧めるが、ラムエは難色を示した。 「神魔約書って難しいんだよね~。イースの人たちは、小さい頃から神魔約書読んでチャクリスになったんだろうけど…私は、元々、北の国、ノウスの生まれで、宗教とかよく分からなくって」 「なるほど。ですが、ラムエさん。わたしと出会った時点で、あなたはもうチャクリスになったんですよ」 「えぇぇええええ!!!」 ラムエがあまりに大きな声で驚いたので、シラセは肩から落ちそうになった。 短い足で、よろけそうになったシラセだが、なんとか、体勢を立て直した。 「シラセさん…やっぱ…神様なんじゃ…」 疑いの目でシラセに目線を向けてくるラムエに、シラセは口を一文字にして閉ざした。
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