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*  2杯目のジントニックを飲みながら、ふと思い付く。  野々宮は、今、シャワーを浴びているはず、その間にあのUSBメモリを手に入れる事が出来るのではないだろうか。    慌ててジントニックを飲み干し、席を立つ。  ホテルの毛足の長い絨毯が、とてつもなく歩きにくく感じられ、やっとの思いでエレベーターホールへ辿り着いた。  そして、苛立たし気にエレベーターのスイッチを叩く。  早く来い、早く来い。  祈るような気持ちで、10階ラウンジフロアまでゆっくりと階数表示が動くのを見つめた。  チンッと、いう音と共に扉が開き、中にいる人が降りるのをじりじりと待つ。  やっと、乗り込むと『5015号室』のカードキーを確認して、5階のスイッチを押す。  幸い乗降客が無く、エレベーターはスムーズに5階に到着をした。  廊下を足早に進み 『5015号室』のドアにカードキーを差し込む。  ドアノブに付いている赤いランプが緑に変わり、カチリと音を立て開錠された。  そっとドアを押し開き、音を立てないように閉めた。  シャワーブースから水音が聞こえる。  足を忍ばせ部屋の奥に進み、野々宮のバッグを見つけると中身を漁った。 なかなか見つからず、焦りながらかき混ぜるとバックの内ポケットにUSBメモリを見つける。  USBメモリを自分のポケットに入れ、ホッと息を吐いた。  野々宮のバックを何事もなかったかのように元の位置に戻す。    お目当てのモノは手に入れた。これで後はこの部屋から出ればいい。  そう思った時にカチリとバスルームのドアが開き、野々宮が顔を見せた。
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