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俺は、フ―ッと息を吐きだしながら、今の状況を振り返り、情けなさを募らせていた。
壁に備え付けらた鏡に寄りかかったまま服を剥かれ、とうとうボクサーブリーフまで脱がされて、それでも大した抵抗ができないのは、自分の欲とあさましさからだ。
仕事で行き詰まりを見せて疲れていたところに、美味しいエサをちらつかされて、まんまと罠に嵌った。
野々宮の気が済むまで、人身御供のように己を差し出し、その先で手にするものにどれだけの価値があるのか……。
美緒との生活をやり直そうとした矢先に仕事に行き詰まり、別れたはずの野々宮とこんな事になるなんて……。
野々宮の罠に嵌って、美緒を裏切るのか?
美緒を失う事になってもいいのか?
いや、ダメだ。
まだ、引き返せる。
胸に舌を這わせ、今にも下半身に手を伸ばそうとしていた野々宮の肩をグッと押して自分の身体から離した。
「野々宮、無理だよ」
「えっ? なに?」
「俺、使い物にはならないから、他をあたってくれ。USBメモリも返すよ。悪かった」
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