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 重たい気持ちを引きずって、電車に乗り込んだ。  車窓から見える街並みは、たくさんの家が立ち並んでいる。あの家や、あのマンション、それぞれの暮らしがある。外から見えるベランダ、そこに干された洗濯物は家族仲良く並んで幸せそうに見えた。けれどその中身は、きっと色々な問題を抱えているはず……。  浮気をされている人も、浮気をしている人もいるんだろう。    浮気と不倫の差ってなんだろう?    そんなことをフッと思い、スマホを検索し始めた。  『不倫の定義』という題名のコラムを見つける。  早速、そのコラム欄へ目を通す。  『浮気・感情の動きによって意中の相手以外に恋心や下心を持つ事が浮気。不倫・心も肉体伴うものが不倫 「不倫の定義は、不貞行為があること」』  民法上では『特定の相手と不貞行為を繰り返すこと』『しかし、1回の不貞行為でもしっかりとした証拠があれば不倫と認定される』とも書いてあった。  結論から言えば、『恋愛感情がなくても肉体関係さえあれば不倫』ということになる。  健治は、浮気ではなく不倫をしたことになる。  私が里美としたことも浮気ではなく不倫になるのだろう。がなければ、不倫とは認定されないという事? 恋愛感情や下心がなく、肉体関係があるのは? 浮気じゃなくて不倫? 考えれば考えるほど分からなくなる。  健治とこの先どう向き合ったらいいのだろう……。  見なかった事にして、今まで通りに暮らす? ホテルから出てきたところを見たと健治に言う? 見たと言って追求して、その後は?  自分自身に問い掛けても答えが浮かばない。  家に帰って健治の顔を見た時に私は、どんな言葉を口にするのだろうか。  裏切られていたという事実。私は確かに、心に傷を負ったのだ。
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