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「三崎先生、昨日はお疲れ様でした」
里美が明るく挨拶をし、私も続いた。
「昨日の勉強会では、主人共々、お世話になりました。お疲れ様です」
「お疲れ様でした。ご主人何か言っていた?」
三崎君が健治の様子を気にしているのを疑問に感じて、私は首をかしげてしまった。
「昨日は、ピンチヒッターで疲れてしまったみたいで、ぐったりしていました」
顎に手を当て、難しい顔を見せた三崎君だっけれど、何かを思い出したようにパッと明るい表情になる。
「そう……。あっ、そうだ。前に話していた高校の同窓会もどきの集まりをしようって、渡部が連絡して来たんだ」
「えっ? 前に言っていた話ですか?」
何故か、里美が話しに食い気味だ。
待って、あなた高校違うし!
「今度の土曜日に集まれる奴らだけでやる。ゆるい感じの集まりだって言っていたけど、どうする? 小松さんの参加も勿論OKだよ」
「ふふっ、理系クラスのエリートが揃うんですね。少し興味はありますが、さすがに遠慮しておきます。あの時、ああでも言わないと、せっかくの交流なのに、美緒先輩が参加しないと思ったんですよ」
「里美……」
「美緒先輩は、もっといろんな人と話をして、視野を広げた方がいいです。世の中、女の数より男の数の方が多いって言うじゃないですか」
私が健治の浮気を目撃してしまった現場に居合わせた里美は、自分の事よりも私の心配をしてくれている。
「里美……でも、里美との約束が先だったのに」
「わたしとは、いつでも会えますが、同級生と会う機会なんて、あんまりないんですよ。三崎先生には、お世話になっていますから、特別に美緒先輩を貸してあげます。土曜日は、美緒先輩をエスコートしてあげてくださいね」
「了解。しっかりエスコートさせてもらうよ」
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