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「おっ、三崎!久しぶりだな。浅木は、めちゃめちゃ久しぶり!高校の卒業以来だな。元気だった?」  木目の落ち着いたインテリアの個室居酒屋には、懐かしい顔が並んで居た。  高校の頃の面影を残し、それぞれが年齢を重ね大人になっていた。  菅生ではなく、旧姓の浅木で呼ばれ、少し心がくすぐったい。 「久しぶり。渡部君は高校の頃より、体ががっしりしたね」 「あはは、太ったって言っていいよ。奥さんのメシが美味くて、つい食べ過ぎちゃって。頼りがいがあっていいだろ?」 「うん、幸せなんだね。ごちそうさま」 「渡部は、去年結婚したんだよ」    三崎君の言葉に私はうなずいた。渡部君は照れくさそうに笑いながら、三崎君の背中を叩く。 「三崎は、結婚式にも来てくれたもんな」 「アットホームで、いい結婚式だったよ」 「三崎も結婚したくなっただろ」 「俺のことは、放っといて。それより、座ってもイイかな?」 「あっ、悪い。そこ2つ空けてあるから座って」  私と三崎くんは、空いている席に隣り合わせに腰を下ろした。  今回の集まりには、渡部君の他にも斎藤君や山本君、神崎君が来ていた。  理系クラスはもともと女子が少ないのだ。  三崎君がコソッと耳打ちする。 「アルコール平気?」  近い距離、耳から入った声にソワソワと落ち着かない。 「うん、みんなビールにするのかな? それなら私もビールで」  お酒を飲む前から、なんだか頬が熱い気がする。    
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