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「えっ、何……⁉」 いきなりの問いかけに、さすがの健治も動揺が隠せない。 私は、手を緩めず更に畳み掛けた。 「何って!?  昨日の夜、健治がどこに居たの?って聞いただけだよ?」 「どこって、昨日は……持ち帰りの仕事をして、夜は……自分で夕飯の支度するのが面倒だから、外へ食べに出たんだ。それが、何かあるのか?」  と、健治は不思議そうな顔をする。  その言い訳の内容に不自然な様子はなかった。  私が、マンションに戻って来た時間に、食事をしに外に出ていたとすれば、辻褄があってしまう。  健治は、私の疑いの目をスルスルと躱し、すり抜けて行く。  これ以上の追求をあきらめるしかなかった。  どれだけ、あやしいと思っていても私には何も証拠がないのだ。 「何もないけど、昨晩、私が病院に行くのに荷物を取りに来た時、部屋に健治が居なかったから……どこに居たのかと思って」  私が素直に告白すると、健治が優しく微笑む。 「なんだ、その時に電話くれれば良かったのに、そしたら、美緒に付き添って病院にも行けたのな」  そう言われてしまうと、健治を疑っていたのは私の間違いだったのでは?っと、思いたくなる。  でも、私の直感がそれは違うと言っていた。  
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