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 店舗から徒歩2分ぐらいの所にあるCafé des Arcs (カフェ デ ザーク)は、セミオープンのカフェで新しく出来たタワーマンションの1階の角にある。弓型のアーチをくぐり店内に入ると、ダークブラウンの木目調の家具。センス良く置かれたグリーン、窓も大きく、マンションの提供敷地内に植えられた木々も良い借景となっている。落ち着いた雰囲気で贅沢な空間が演出され、ギャルソンスタイルのイケメン店員さんが笑顔で出迎えてくれた。  窓際の席に通され、里美と向かい合わせに腰を下ろす。  キョロキョロと店内を見回し、里美がコソッと耳打ちした。   「先輩、ここのカフェって、面接厳しそうですね」    そう言って、ふふっと笑う。  確かに、さっき案内してくれた人もカウンターの中の人もフロアの人もみんなアイドルでもやっていけそうなイケメンだ。   「このカフェ、箱推ししても良いぐらい従業員さんのレベルが高いね」    里美と顔を寄せ合いクスクスと笑い合っていると、注文を取りに来た店員さんが、少し不思議そうに「楽しそうですね」と小首を傾げた。  里美がその店員さんに悪戯な瞳を向ける。   「ここの面接って厳しいですか?」 「えっ? 普通ですよ。何でですか?」 「みんなイケメンさんが揃っているね。って、話していたんです」 「イケメンさんって思ってもらえるなんて、ありがとうございます。サービスしますね」  イケメン店員さんは、少しウェーブの掛かった髪を後ろでまとめ、年の頃は20代前半ぐらい。白いシャツに黒いパンツ、黒い長めのエプロン、ギャルソンスタイルがよく似合っていた。白いシャツのポケットの所に刺繍がされていて、MISAKIと書かれている。 『 MISAKI 』その名前に懐かしさが蘇る。高校の同級生だったの三崎くんを思い出したからだ。もちろん、目の前にいるイケメンのMISAKIさんが、同級生などではない事は100%わかっている。でも、どことなく彼を思い出させる面影があった。
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