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「えっ⁉ 浅木さん? メガネに三つ編みだった?」 「あ、はい。当時は、メガネに三つ編みでした。メガネはコンタクトにしたので……」  三崎君が、私の事を覚えていてくれたと思うと、胸の奥が甘酸っぱい。 「何? 君たち同級生だったの?」 「はい。医院長、偶然ですが、高校3年の時に一緒のクラスでした」  そう言って、柔らかく微笑む三崎君の顔が、あの頃の笑顔を思い出させて懐かしさが募る。  蒔田医院長は満足げに頷きながら、決定事項とばかりに言い渡す。 「それは、良かった。これからは、勉強会もあるから会う機会も多いし、色々相談して決めてね」    お薬と一言で言っても、先発品か、ジェネリックか、同じ薬効でもメーカーはどこのメーカーが良いかなど、処方箋で出される薬には色々ある。  そのため各医薬品メーカーのMR(医薬情報担当者)が、病院の都合の良い時間帯に訪問して勉強会などを開いてくれる。その勉強会に同席させてもらい、お薬について学ばせてもらうのだ。  そして、医院が推すメーカーの薬を薬局の店舗に薬を揃えるようにする。その勉強会たびに、三崎君と取り扱いの薬について、話し合う事になった。  
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