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 初めて抱かれた時のように優しく、包み込まれたい。  私だけを好きでいてもらいたい。  こんな場所で体を繋げて欲望だけを満たすような事をしても、心が満たされない。 「美緒……かわいいよ」  耳元で囁き、ゆっくりと首筋へ舌が這う。そして、肩口にチリッと痛みを感じた。  チュッとリップ音が聞こえて、そこに所有痕を付けられた事がわかった。  自分は自由でいたいのに私の事は拘束したがるなんて……。   「いゃ……」  拒絶の言葉は、注挿を繰り返される中。甘さを含んで、強請っているようにしか聞こえない。 「おねが……い、やさ……しく」 「美緒……美緒……」  だんだんと快楽の高みへと追い立てられ、口からは嬌声が漏れる。  体は熱くなり歓喜の声を上げているのに、心が冷えていくような気がした。   「けん……おねがい……」 「くっ……」  健治の欲望が私の中に吐き出され、熱い息が首筋にかかる。 「美緒、愛しているよ」  甘い声が聞こえる。  首筋に軽くキスを落とされ、私の中に納まっていたモノが引き抜かれると、一抹の寂しさを感じた。  そして、中から残滓がトロリと内ももを伝う。
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