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「先輩、お昼ご飯に行きましょう。今日はワリカンでいいですよ」
朝の事を気にさせないように明るい声で私を誘う里美の気遣いを有難く思った。
「いいよ。里美にはお世話になっているし奢るよ」
「じゃ、Café des Arcs で」
ふふっ、と里美が悪戯な微笑みを浮かべる。
「いいよ。行こう」
二人で歩いていると里美が腕を絡ませてくる。相変わらずの様子に違和感を感じなくなって来ている自分がいた。腕を組んだまま、Café des Arcs に到着すると、昨日のイケメン店員さんのMISAKIくんが、柔らかい笑顔で出迎えてくれる。
「こんにちはー」
「いらっしゃいませ、こんにちは。ご来店ありがとございます」
「MISAKIくんの顔を見に来たんたよ」
と里美がおどけて言う。
「ありがとうございます。では、窓際の景色の良い席にご案内しますね」
と、ふわりと蕩けるような微笑みを浮かべるイケメン店員のMISAKIくん。その、慣れた様子に関心するばかり。
やっぱりモテる人って、こういう感じなんだろうな。っと、思い浮かべるのは健治の事だった。
健治も大学の頃から直ぐに知らない人と打ち解け、古くからの友人のようになっていた。
人好きのする陽キャの人たちは、人に見せる部分と見せない部分を上手に使い分けているのだろう。
人との間に壁を作り、内に籠ってしまう自分とは大違いだ。
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