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憧れの気持ちは少しあったけれど、同じクラスとはいえ、遠い存在だった三崎君。  話をしたのも数回で、何も語るようなものは持ち合わせていない。 「同じクラスだっただけだよ」  そんな、話をしていたせいか、三崎君が店内に入ってきた。  お昼時の店内は、近所の主婦やOLなどでにぎわっていて満席状態。  店員さんのイケメン率が高いおかげかな?  そのイケメン店員さんのMISAKIくんが対応していた。   「隣の先生なら誘った方がいいですよね。顔繋ぎにもなるし」    里美が、フロア店員に声を掛け、相席を進めるように伝えた。すると、話が上手く伝わったようで、店員さんのMISAKIくんに案内されて三崎君がやって来た。   「えっと、浅木さん、お誘いありがとうございます。助かりました」 「三崎先生、こちら、うちの薬剤師の小松です。それと私の名前、浅木は旧姓で、今は菅生です」 「小松先生、内科医の三崎です。よろしくお願いします。浅木さんは、菅生さんになったのか。昨日も聞いたよな、ごめん」  挨拶が済んだタイミングで、お冷を運んできたMISAKIくんが「悠正さん。何にしますか?」と声を掛けてきた。すると、三崎君がウェイターのMISAKIくんを照れくさそうに紹介してくれた。 「このコ、おれの甥っ子で、和成って言うんだ。和成はこの若さでこの店のオーナーなんだよ。和成、今日のオススメで」  甥っ子だったなんて、和成くんに三崎君の面影があるはずと納得。 「オーナーだなんて、すごい!」 「ぜんぜんですよ。お二人とも悠生さんのお知り合いだったんですね。これからもどうぞご贔屓にしてください」  和成くんはペコリと頭を下げた後、カウンターへ戻って行く。
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