6

6/10
前へ
/151ページ
次へ
「和成君、三崎先生と顔似てますよね。三崎先生の家系は、イケメンの家系なんですね」  里美の言葉に三崎君は恥ずかしそうに頬を掻いた。 「あはは、どうなんだろうね」 「三崎先生。菅生先輩と同級生だったって聞いたんですが」  里美は好奇心いっぱいで、目を輝かせている。 「そう、浅木……菅生さんとは理系クラスで一緒だったんだ」 「クラスが一緒だったけど、少ししか話さなかったよね」   「菅生先輩って、どんな感じでしたか」 「里美、変な事を聞かないで、クラスが同じだっただけなんだから」  焦る私に、三崎君はニッコリ微笑む。爽やかな笑顔のなずなのに目が悪戯っ子のように輝いて見えた。 「三つ編みで、メガネで大人しく清楚な感じだったよ」 「もう、三崎君まで、あんまり話した事もなかったし、私のことなんて覚えていないでしょう」  ランチが運ばれてくる。良いタイミングでひと息ついた。  気を取り直し「いただきます」と食べ始めると、三崎君がポソッと呟く。 「名前、呼びにくいんだ」   「えっ⁉」  三崎君の言葉に、思わず私はクルクルとパスタを巻き取っていたフォークを持つ手が止まる。 「俺の中で、浅木なんだよね。菅生に変換が効かないんだ」
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

242人が本棚に入れています
本棚に追加