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「少しずつ話し合っていくよ。ごめんね」  里美は、私の煮え切らない態度にフゥーッと呆れたように息を吐き出した。 「きっと、また、浮気しますよ。浮気性の男なんて、性質の悪い病と同じなんだから治りませんよ。何度でも浮気するんですからね」   「ごめんね。心配してくれるのわかるよ。私、直ぐに答えが出せるほど器用じゃないんだ……よく考える。ごめん」  里美には迷惑をかけてばかりで、気持ちに応える事も出来ず、宙ぶらりんな状態。申し訳ないと思いが募るばかりで、視線を逸らして俯いた。  そんな私の事を里美はそっと抱きしめて来た。女の子特有の甘く柔らかい香りが私を包み込む。   「先輩、なにかあったら、いつでもウチに来てください。先輩を泣かす男なんてサッサと捨てちゃっていいんですよ」 「うん、ありがとう。ごめんね」 「今日は、帰りましょう。私も言い過ぎました」    私から腕を離した里美は切なそうに微笑んでいた。
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