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そうだ、内科の先生、院長先生から三崎君になったんだ。
問診票に体重とか入っている。
うわー!体重がバレちゃう。でも、これは、治療なんだから……。
と必死に自分に言い聞かせた。
問診票に昨晩倒れたことも書いたせいか、三崎の表情が硬いように見える。
仕事中の顔なのかも、私はオフの穏やかな顔しか知らなかったんだ。
問診で症状を確認された後に採血をすることになって、腕にゴムを巻かれた。そして、血管を浮かせるために三崎君の指が私の腕をなぞる。
なんだか普段の採血よりもドキドキとして、自分の腕に注射の針が刺される瞬間までも凝視してしまった。
採血が終わり、貧血症状を見るために三崎君の手がスッと私の顔に伸びてくる。温かい指先が顔に触れ、下瞼をクッと下げた。状態を見ているってわかっているのに知っている男性とこんなに近い距離は、健治以外になかったから、変に緊張してしまう。
「はい、口を開けてください」
と、三崎は、アイスの棒のような舌圧子(へら)を手に持っている。
口の中を見られるのもなんだか恥ずかしい。
次に、首筋のリンパを確認のために三崎君の指が、首筋に触れる。耳の下から肩口まで、指がだんだんと移動していく。
そして、聴診器で胸の音を確認するために、カットソーの襟元に、少し冷たい聴診器が当てられる。
恥ずかしさと緊張で、あり得ないぐらいに早くなっている心臓の鼓動を聴診器を通して三崎君に聞かせている。
なんだか、ヘンに意識してしまって別の意味の目眩を起こしそう。
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