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「ん、んふっ」  なんて事だろう。  私は異性愛者だ。今まで同性相手に性的感情を持った事など無かった。  それなのに里美のキスに反応している。  そんな私の変化を里美は、見逃してはくれなかった。  私の寂しい心の隙間に入り込む。 「もうダメ……里美」  抵抗とは言えない言葉を口にした。  でも、私の唇は里美の唇で塞がれ、力を失くした身体のラインを沿うように里美の手が動きだした。  その手がするりと洋服の間に滑り込む。  背すじを伝うように指先が這い、ブラのホックを外される。  今まで締め付けていたモノから私は解放された。  耳朶を甘噛され、舌が首すじをなぞる。それと同時に、滑らかな手が私の胸の膨らみを撫で上げ、柔らかな刺激を加える。  健治とは違う手の動き、その愛撫にゾワゾワと背中に電気が走る。    大学時代にサークル活動で健治と出会った。健治にとって、私は完全にモブキャラだった事は自覚していた。そして、野々宮果歩と付き合っていた事も知っている。  私は、健治を遠くから眺めていただけで、卒業後は会う事もなかった。  なのに友人の結婚式で久しぶりに再会し、付き合い、結婚して2年。男性経験は健治しかなく、今まで誰かと比べた事もない。    知らない感覚に戸惑う。女同士という事もあるのだろう。  軟やわと胸を揉まれる力の強さがソフトで痛くなく気持ちいい。  健治に胸を強く揉まれ、痛みを感じる事があった。  里美に胸を柔らかく揉まれ、甘噛みされると、背中の方から快感が駆け抜ける。  やがて、鼻から抜ける甘い声が上がり、身を震わせる。 「んっ……はっぁ…あぁ……」  自分から、漏れる声のあまりの甘さに驚き慌てて口を押さえた。
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