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「美緒先輩、声、可愛い。女の子は、女の子の体をよく知っているから気持ちいいでしょう?」  上目遣いの里美の表情は、今までに見た事も無いほど、妖艶な微笑みで私を魅了する。  ゾクゾクと背中が粟立ち、これ以上進んではイケナイと、心に警笛が鳴り出した。 「美緒先輩、気持ち良くしてあげます。不埒な旦那さんの事なんて、考えられないぐらいに……」  この言葉に心の防壁があっけなく崩れていく。  そうだった、健治は、元カノとホテルから出てきた。元カノとをしたんだ。   『浮気』という言葉が心をよぎる。  イヤ違う、元カノが本命だったのかも……。  私は、都合良く使われていたんだ。  里美の事を頑なに拒む理由が無くなった気がした。  健治だって、好き勝手しているのに……。  酩酊した頭は正しい判断が出来ないのか、寂しい心がそうさせたのか、里美に身を委ねた。  私を優しく撫で上げる手も、胸の先端を甘噛みする唇も、すべてが初めての感覚に怖くなる。それなのに口からは甘い息と高い声が漏れ、拒絶の言葉はその続きをねだるかの響きを持っていた。 「だ……だめ」  首を左右に振りながら体を疼かせる。里美は優しく私の体を開き、艶のある声で蠱惑的に囁く。 「先輩……もっと、乱れて下さい。嫌な事を忘れられますよ」
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