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 両手で頬を包み込まれて、息も出来ない程深いキスで上口蓋を刺激されて、逃れる事も出来ずに体を疼かせている。  モジモジと両ひざをすり合わせ、健治を欲しがって、はしたなくなった体の熱に耐えた。 「ん……ぁ」    キスだけで、恥ずかしい声が出る。すると健治の口がスッと離れて、空気が口に入りこむ。  力強く抱きしめられ、耳元で囁きが聞こえた。 「美緒、愛してるよ」  耳から入ってくる健治の甘い声に官能がゾクゾクと走る。   「健治……もう……」  甘い息を吐きながら潤んだ瞳で健治を見上げた。 「健治……もう……お願い」 「なに?」  わざと聞き返してくる。  私は抗えずに熱を孕んだ声で健治を強請る。 「もう、健治が……」  そう言うと、健治が私を愛おし気に見つめ、額にキスを落とした。  そして、(いざな)う。 「美緒……ベッドに行こうか」  窓から差し込む光が、部屋を明るく照らしている時間だというのに、私はコクリとうなずいた。   「こんな時間からベッドに行こうだなんて、新婚みたいだな」  健治は目を細め、私を抱き上げた。
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